不思議な樹木
2015-08-17


 昨日でお盆休みも終わり、今日から出勤という方が殆どだと思います。この休日の間に皆さんの中には山へ海へ、あるいは久しぶりの里帰りなどと慌ただしい毎日を過ごされた方も多いのではないでしょうか?

 私はこのお盆の間に先祖の供養と近場のドライブでも、と考えていたのですが、急遽呼び出しが掛かり、14日は熊本市内の小学校の樹木調査をやるはめになってしまいました。調査の目的は枝が枯れたり、幹が腐朽したりしていて、枝折れや倒木の危険のある樹木を拾いだすというものでした。確かに、連休中は学校への人の出入りも少ないので都合が良かったのでしょう?

 調査は簡単なものだったのですが、小学校の樹木を改めて見てみると、結構面白い発見があります。下の写真は、ケヤキの木にツルウメモドキが巻き付いている様子です。巻き付いている方のツルウメモドキがかなり多きく成長しているためにケヤキの成長が阻害され、やっとこさ生きているという感じです。まるで、アントニオ猪木の得意技コブラツイストを掛けられているように見えます。

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 次の写真は株元で枝分かれした一本の木のように見えるのですが、実はこれ全然別の木が根元付近で合体しているものです。向かって右側の細く曲がっているのがクスノキ左側の真っ直ぐなのがハリエンジュです。この二つは種が同じとかいうことも無く、全く無縁の樹木なのですが、御覧のように仲良くくっつきながら成長しています。
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 三番目の写真はナナミノキです。幹の上の方をよく見ると、横方向に走った亀裂の中に自らの枝を飲み込んでいるのが分かります。まるで自分の腕に噛み付いているようにも見えます。上の樹木と違って、こちらは自分自身の事があまり気に食わないのでしょうか。

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 最後の写真はサクラについたコフキサルノコシカケです。縦横ともに30pはあろうかという立派なキノコです。幹の内部は殆ど腐朽しているものと思われます。
 この日の調査でも問題が見つかった樹木の九割近くがサクラの木でした。それも植えられてから40年ほどは経っていると思われる木が殆どです。一般的にサクラ(ソメイヨシノ)の寿命は60年ほどと言われますが、ある意味当たっているのかもしれません。写真にあるようなサクラは植え替えの時期に来ている事は間違いなさそうです。

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 14日の調査はほぼ1日がかりとなりました。お陰で、お盆休みにゆっくりと羽を伸ばすまでには至りませんでしたが、ご先祖様の供養も出来たし、美味しいものも頂けたし、それに、学校の樹木の現状もなんとなくではありますが分かったので、それなりに有意義な休日を過ごすことが出来と思います。
[樹木医の仕事]

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