先週、九州に上陸したはずの台風も熊本では雨風共に大したことはなく、拍子抜けするほどの静けさのまま、無事に通り過ぎてくれました。しかし、台風から遠く離れた長野県で大きな被害となったのは、なんとも皮肉な気がします。
そんな台風明けのある日、熊本市内とある交差点で信号待ちをしている時、何気なく街路樹に目を向けた時に妙なものが目に入ってきました。明らかに樹木の自然な色彩とは違うオレンジ色にピンと来るものがあったので、近寄ってみて見るとご覧のような事になっていました。
上の写真の街路樹(ケヤキ)の幹の下の方にオレンジ色の塊状のものがあるのが、お分かりになると思います。地際から40〓50p程の高さの幹に、縦50p×横25p程のベッコウタケ(キノコ)が発生しています。
ベッコウタケはこのブログでも何度か紹介した事があるので、ご存知の方もいらっしゃると思うのですが、樹木の形成層と言われている生きた組織や根を腐らせる恐ろしいキノコです。街路樹が倒れて下を通りかかった人がけがをする。といったニュースをよく耳にしますが、実はこのベッコウタケがその主な原因と考えられています。
キノコの大きさから考えても内部の空洞化や根の腐朽等、この樹木(ケヤキ)は目に見えたいところで大きなダメージを受けていると思われ、大変危険な状態です。
他の樹木も気になったので、周辺を少し見てみました。すると、すぐ横の木はご覧のように車道側へかなり傾いた状態になっています。
また別の木には別の種類のキノコが発生していました。下の写真の空洞の上にちょこんと見える白っぽい部分はおそらくコフキサルノコシカケと呼ばれるキノコです。これはベッコウタケのように樹木の根元を直接に腐らせる力はないのですが、幹の木部を空洞化させます。
下の写真ではキノコの発生は見られなかったのですが、車道側の縁石を真っ直ぐに敷設するために、樹木の根の部分が直線的に切断されているのがわかります。
私の推測ですが、度重なる歩道の掘削や道路工事の際に樹木の根の切断が繰り返され、その傷口からベッコウタケ等の腐朽菌(キノコ)が侵入して今の様な衰弱を引き起こしていると考えられます。
歩道をまっすぐ平坦にして歩行者がストレスなく歩けるようにしたい。或いは樹木の根の成長によって車道側の縁石がいびつに膨らんでいるのを真っ直ぐに矯正したい。という気持ちは分からないでもないのですが、このような行為によって樹木の根を傷つけることが、将来の倒木リスクを増大させていることを認識していただきたいものです。
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